モルト(malt、大麦麦芽)やグレーン(grain、トウモロコシ)などを発酵、蒸溜した後に、木製の樽で長期熟成させたお酒。
一言でウィスキーと言っても、原料、産地、製法などで全く異なるウィスキーが出来上がる。
ウィスキーの製造工程は、大きく分けて以下のような工程を経て行われる。
非常に簡単ではあるが、順を追って紹介する。
大麦麦芽を作る工程である。大麦に水を加え発芽させる。適度な大きさに麦芽が育つと、乾燥させて発芽を止めるが、ことの気に使う燃料によって、最初のウィスキーの特徴づけが行われる。スコッチの場合は、基本的にこの工程で、ピート(泥炭)が使用される。ピートを使用している乾かした麦芽で製造したウィスキーにはスモーキーフレーバーが加わる。
発芽した麦芽を粉砕して、加水、酵母を加えて発酵させる。この時加える水をの硬度はその後のウィスキーの性質を決める要因ではあるが、ほとんどの場合、軟水が利用される。
蒸留器を使用して上流を行い、アルコール濃度が70%程度になるまで蒸溜を行う。通常、蒸溜は2回行われる。
蒸溜したウィスキー原酒は、樽詰めされて長期熟成される。10年以上の期間熟成が進む。
複数の樽(カスク)から取り出したウィスキーを掛け合わせ、味を調整する。この工程をバッティングという。この調整をまったく行なわないで、一つの樽から取り出したものをそのまま瓶詰めしたものはシングルカスクと呼ばれる。
樽から取り出したウィスキーは、水を加えて、37〜43%程度に調整される。この工程をを加水という。加水を行なわないウィスキーはカスクストレングスと呼ばれる。
一般的に、ウィスキーは原料と産地で分類されることが多い。あえてウィスキーと言わないことも多いが、スコッチやバーボンなどもウィスキーの一種である。スコッチは定められた製法と生産地(スコットランド)で製造されたウィスキーである。また、バーボンはトウモロコシが半分以上(正確には51%以上80%未満)含まれていて、基本、アメリカのケンタッキーのウィスキー。しかし、ケンタッキーでなくても、バーボンを名乗ることは出来るので厳密ではない。バーボンの一種であるテネシーウィスキーなどはテネシー産である必要があるため、ブランドの側面が強いところがある。
が代表的な産地のウィスキーとなる。
歴史的に見るとアイリッシュがウィスキーの起源である。その後スコットランドで、木製の樽による長期熟成方法が確立されスコッチとなった。
スコットランドのウィスキー、すなわちスコッチには、主要な産地として、以下の6つの地域が有名である。
ハイランド、ローランドは位置的には、それぞれスコットランドの北部、南部を指している。ハイランドにはスコットランドの蒸溜所の大半が集まっている。
スペイサイドはハイランドの中に位置するが、さらに最もスコッチ蒸溜所が密集している地域を特別に分けて呼ぶ。特に古い蒸溜所が多数あり、伝統的なスコッチが製造されている。
アイラ島はスコットランドの西部にある島で、8つの蒸溜所が存在する。アイラ島のウィスキーの特徴は、ピート香と塩気と言われている。しっかり、ほぼ例外なくピートでしっかり燻すため、スモーキーなウィスキーとなる。
アイランズはグレートブリテン島とアイラ島以外の島のこと。
キャンベルタウンは、ハイランドの西側にある町。昔は蒸溜が盛んであったが、アメリカの禁酒法の影響で衰退している。
18世紀にカナダとアメリカでもウィスキーが作られるようになった。これらはカナディアンウィスキーやアメリカンウィスキーなどと呼ばれる。
日本では1923年、サントリー創業者の鳥井信治郎が建造した京都郊外の山崎蒸溜所が出発点です。歴史的にはまだまだ浅い日本のウィスキーであるが、世界的にもその地位は確立されている。
その名の通りモルトだけで作られたウィスキーをピュアモルトpure maltと言う。 ピュアモルトの中でも、単一の蒸留所のピュアモルトだけで作られているものをシングルモルトsingle maltと言い、ピュアモルトの中で、複数の蒸留所のピュアモルトをブレンドしたものはヴァッテッドモルトvatted maltと言う。
ピュアモルトは、シングルモルトとヴァテッドモルトに分類される。しかし、ヴァッテッドモルトという表記がされているウィスキーはあまりなく、ピュアモルトと表記しているものは基本ヴァッテッドモルトと考える。単一の蒸留所のブレンドの場合はわざわざピュアモルトとは表記せず、シングルモルトとすることが一般的である。
シングルモルトは蒸留所の土地や環境の影響を受けて、個性のあるウィスキーになると言われており、逆に、ピュアモルト(ヴァッテッドモルト)は、飲みやすさや薫りを追い求めるてブレンドを行っている。シングルモルトとピュアモルトを較べて、どちらが希少性が高いとか、純粋であるとかだけで、ウィスキーの価値が決まるわけではない。
北海道余市蒸留所のシングルモルトウィスキーである。値段も比較的安価で飲みやすい。 似ている宮城峡に比べるとややスモーキーな印象である。
【石炭直火蒸溜所】熟練の技が求められる石炭蒸溜により香り豊かで力強い香味のモルトウィスキーが生まれます。 【北海道余市蒸溜所】冷涼で豊かな自然に恵まれた北海道余市は、ウィスキーの貯蔵・熟成に適した理想郷。
ニッカウィスキー株式会社
アルコール度数 43%
仙台宮城峡蒸留所のシングルモルトウィスキーである。値段も比較的安価で飲みやすい。値段設定は余市と同じ。 宮城峡と余市は瓶も同じで、ラベルも酷似しており、味も似ている。宮城峡の方がクリアでかつ余韻が穏やかに感じる。
【新川伏流水仕込】その水でつくった水割りの美味しさに感動した、ニッカ創業者竹鶴政孝が選んだ新川(ニッカワ)川の伏流水仕込みです。 【仙台宮城峡蒸溜所】清涼な水と緑豊かな自然に恵まれた仙台宮城峡は、芳醇でまろやかなウィスキーを育みます。
ニッカウィスキー株式会社
アルコール度数 43%
サントリー山崎蒸溜所のシングルモルトウィスキー。エイジドの山崎はかなり値も張るが、こちらも比較的リーズナブルなウィスキーだと思う。
サントリー酒類株式会社
アルコール度数43%
竹鶴ノンエイジドは500ml瓶で1500円しないぐらいで手に入るピュアモルトウィスキー。飲みやすく甘い香り。
ニッカウィスキー株式会社
アルコール度数 43%
単一蒸留所のモルト原酒だけで作ったシングルモルト、複数蒸留所のモルト原酒を掛け合わせたピュアモルトともうひとつブレンドウィスキー(ブレンデッドウィスキー)というものがある。
ブレンデッドウィスキーでは、モルト以外にグレーンなどを含んだ原酒が含まれる。日本のブレンデッドウィスキーで有名なのはサントリーの響である。クセがなく誰でも飲みやすいウィスキーだと思う。こういう非常にバランスが良いウィスキーができるのはブレンデッドウィスキーならではである。
ちなみにウィスキーをブレンドする専門家をブレンダーと言いう。ブレンダーは、毎日数十〜数百の原酒をテイスティングして調合を繰り返している。輿水精一(こしみず・せいいち)さんはサントリーのチーフブレンダーだが、響30年や山崎50年といった世界に名だたるウィスキーを世に送り出したブレンダーである。
輿水精一さんのお仕事が分かる面白い記事があったので紹介する。 http://bizacademy.nikkei.co.jp/business_skill/shaberi/article.aspx?id=MMACi8000005092014
モルトとグレーンのブレンデッドスコッチウィスキー。安くて尖った感じはなくとにかく飲みやすいウィスキー。
名門バランタイン社が1910年に発売して以来、世界中で愛されている傑作スコッチ。40種類に及ぶ原酒が織りなす、豊かでなめらかな風味をお楽しみください。
バランタイン社
原材料 モルト、グレーン
原産国 スコットランド
アルコール度数 40%
非常にシンプルだが、グレーン独特の芳ばしい香りと味わい。そして、安い。 個人的にはオンザロックスかハイボールで飲む。
世界120ヶ国以上で支持されている世界No.1(※1)バーボンウイスキー。厳選された良質のコーンから生まれる4年以上の熟成原酒を使用。コーン由来の香ばしさと甘さを引き出したマイルドな口当たりで、飲みやすさが特長のウイスキーです。ウイスキー入門者の方にもおすすめです。(※1)2011年バーボンウイスキー世界販売数量実績(IMPACT NEWSLETTER February 1&15 2012号より)
JAMES B.BEAM社
原材料 モルト、グレーン
原産国 アメリカ
アルコール度数 40%
ウィスキーの飲み方はたくさんあります。ウィスキーの種類や好みに応じて選べる基本の飲み方には以下のようなものがあります。
その名の通り、ストレートで飲む方法。チェイサーを用意して、舌と喉をリフレッシュしながら飲むのが一般的。ニート(neat)とも言う。ニートとは煌めく、輝くというラテン語のニテーレが元になっているらしい。現在の英語でもneatは「良い、綺麗な、さっぱりした」と言った形容詞に使われている。
ショット系のグラスかテイスティンググラスが似合うのでお気に入りを揃えておきたくなります。
大きめの丸氷やロックアイスにウィスキーを注ぐだけのシンプルな飲み方です。
大きめの氷を使うことで、溶けるのが遅くなりますから、ゆっくり楽しむことができます。グラスもしっかり冷やしておきます。
オンザロックス風に大きめの氷を使ってウィスキーと炭酸または、ウィスキーと水を1:1にします。グラスも炭酸も良く冷やしておきます。ハイボールでは刺激の無いウィスキーがハーフロックスで全く違う味わいを見せることもある。
ウィスキーと常温のミネラルウォーターを1:1の割合で混ぜる飲み方です。大きめの氷で冷やすとハーフロックスという飲み方になります。 トゥワイスアップは最もウィスキーの薫りが引き立ちます。薫りを楽しむための飲み方です。ティスティンググラスがあると雰囲気が出ると思います。
グラスにたっぷりの氷を入れて、ウィスキーを1/3から1/4ぐらい注ぎます。グラスとウィスキーをしっかり冷やしてから炭酸を注ぎます。炭酸を注いだ後はマドラーで一回転ぐらいそっと混ぜる。混ぜ過ぎると炭酸が失われるので、そっと混ぜる。グラスは少し大き目または長めのグラスが似合う。
日本のシングルモルトやシングルモルトのスコッチはハイボールに良く合う。
ウィスキーに関するその他のトピックを紹介します。
ブランデーは果実酒を原料とした蒸留酒で、コニャックはその中でも葡萄を原料とした蒸留酒です。ブランデーやコニャックも蒸留酒であることと長期熟成を特徴とする点では似ています。
ウィスキーの英語表記ではWhiskyとWhiskeyのようにeの有無で二種類の表記がある。Whiskyの表記は、主にアイリッシュとスコッチで使用される。アメリカ、カナダのウィスキーでは、Whiskeyの表記が使われる。
日本では、基本的にWhisky表記が使われている。これは、日本のウィスキーがスコッチの系統のを引き継いでいることに由来するとのこと。
手元にあるものの範囲で確認したが、ニッカ、サントリー、キリン、バランタイン(スコッチ)は、Whisky表記だった。
手元にあるウィスキーの中でWhiskey表記のものはJIM BEAM(アメリカ)だけだった。
樽の材質と樽の熟成歴はウィスキーの香りや風味を特徴付ける重要なファクターになる。 特にバニラのような香味、チョコレートのような香味といった要素は樽の影響を受けたものである。
主にスパニッシュオークやホワイトオークなどのオーク材が用いられる。ただし、新しい木の樽は木香が強くなりすぎるため、モルト本来の香りが失われる。ケンタッキーのバーボン以外は基本的に中古の樽が利用される。ケンタッキーではウィスキーの熟成に新木を使うという法律があるらしい。
バーボン以外のウィスキーでは1度バーボンの熟成に使われたものが輸出され利用されることが多い。バーボンの熟成に使用された後、スコッチなどで最初の熟成に用いられるのがファーストフィル、次がサードフィル、セカンドフィルとなり、木香が薄まって行く。
ウィスキーの特徴を付けるために、バーボンやワイン、シェリーの樽をウィスキー樽に再利用して熟成に使用される。
材が白色に近いため、ホワイトオークと呼ばれる。辺材は淡黄白色、心材は淡黄褐色である。ほとんどが北米産。バニラの香味が特徴的なウィスキーとなる。バーボンの熟成に使用された後にウィスキー用途に使用されることが多い。
もともとはシェリーやワイン用の樽材であった。中古の樽がウィスキー用としてヨーロッパで使われ始めた。チョコレートを連想させる香りを纏う。濃いめの褐色が特徴的なウィスキーとなる。
ヨーロッパナラとも言う。ヨーロッパの広範囲で生息する。こちらも主な用途はワイン樽である。
かなり個人的な見解である。
シングルモルトやピュアモルトなどのスッキリしたウィスキーには、ペリエプレーンのような主張の無い炭酸水が良いように感じる。 特に、白州や山崎、竹鶴や余市のような日本のモルトウィスキー かなり個人的な見解である。
シングルモルトやピュアモルトなどのスッキリしたウィスキーには、ペリエプレーンのような主張の無い炭酸水が良いように感じる。 特に、日本のモルトウィスキーは、スッキリしていてハイボールに良く合うが、ペリエとの相性は良い。
しかし、これに対して、どんなウィスキーでも同じ炭酸で良いとはいいがたい。バランタインなどの甘めのウィスキーやケンタッキーバーボンにはペリエでは、炭酸不足で負けてしまい、爽快感が物足りないことが多々ある。そういう場合には、炭酸のきついウィルキンソン炭酸などが合う。
ウィスキーの銘柄にはグレン○○のように、グレン(Glen)で始まるものが多い。
グレンとはゲール語で「谷」、「渓谷」を意味する。
ウィスキーの原料であるグレーンは「穀物」を表すGrainである。Grainはウィスキーの話題ではグレーンと表記されるが、発音はグレインに近い。
Glenfiddich(グレンフィディック)
フィディックとは、「鹿」という意味がある。鹿の谷と言う名のグレンフィディックのラベルには鹿が印刷られている。
Glenmorangie(グレンモーレンジー)
モーレンジは「静寂」。「静寂の谷」
Glen Moray グレンマレイ
Glenturret (グレンタレット)
The Glenlivet(グレンリベット)
リベットは、「リベット川」に由来する。リベットの谷。